育児犬としてチョコンと座っていたのがセントバーナード犬との始まり。
生後4か月くらいか?
こんな子犬が育児?とクビをかしげたが、
ともかくも我が家の悪ガキは尋常ではない。
悪ガキどもの相手をしてくれるというのか?
本当なら願ってもない朗報、と早速に購入を決意。
木更津市のブリーダー、下村さん宅で生まれたという子犬を見に行った。
生まれたのは9匹。
全員ならんでチョコチョコお出まし。
一番最後にいかにも、恥ずかしそうに
こっそり現れたワン君に人目惚れ。
ベンジャミン・フランクリンにちなんで
ベンと名付けセントバーナード犬との毎日が始まった。
あっという間にムクムク、ムクムク、
やたらにデカくなったのには驚いたのだが、まさに育児上手。
我が家の子供だけでなく、
ご近所さんの子供たちまで一括育児……とただただ育児専科であったが、
その元々の本職は遭難救助犬であったと後になって知った。

首に結わえたのは酒樽。
樽の中はラム酒とかブランデー。
雪山で凍死寸前の旅人は
これを飲んで息を吹き返すのだ。
セントバーナードの名前の由来は
標高2500mのスイスの高山に建つ
セントバーナード寺院から。
この寺院では1000年もの間、
峠を越える旅人のために食事とベッドを提供、
2000人以上の人々の命を救ってきたそうだ。
旅人の大半は重い荷を背負った行商人たち。
雪の中から彼らを見つけだすのは至難のこと。
17世紀頃から遭難者救出に犬たちが使われるようになった。
中でも有名なのはバリー。
41人もの命を救ったとされる。
亡くなったのは1814年、13歳で亡くなった。
遭難者を発見、かけつけるバリーを
狼とまちがえた遭難者の銃弾に倒れた……との話もあるが、
イヤイヤ老いてからは施設に休養して長生きした、という説もある。

我が家のフクちゃんもモニーも
すべてこのバリーの子孫か。
となると育児というよりは、
親代々の救助犬としての職務で
子供たちの面倒をみていたのかもしれない。
ともかくベンといる場合は万事安心、
すっとり子供のことは忘れていられた。
よその子供たちも同じ。
まだ幼稚園にも入れない3歳や4歳だから
普通なら結構手もかかるだろうが、
ベンが来てからは全く手間いらず。
親の私も子供とはほとんど接触なし。
彼らは彼らでうまくやっていたようだ。
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